【沖井の冬楽曲解説 その8】シンバルズ「December’s Children」

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2024/12/21 18:09

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沖井が過去に作ってきた「冬楽曲」について一曲づつよもやま話をしていきます。今回はシンバルズの3rdシングル『My Brave Face』カップリングから「December’s Children」のお話を。

 

https://youtu.be/OyAF71DEXFk?si=F0GQEoWzSXiJNTF8

(詳細の「もっと見る」で歌詞の対訳が表示されます)

 

 

3rdシングル『My Brave Face』が1999年12月1日にリリースされることになり、カップリングとして書いた曲です。せっかくの12月リリースですからね、冬好きの僕がこの機を逃す手はありません笑。

 

1999年6月にメジャーデビューし、プロモーションにライヴに制作にと急に多忙になりました。シンバルズは97年初夏に結成してからデビューまであまり時間もかかってなかったので、楽曲ストックもありません。セカンドアルバム『Mr.Noone Special』(2000年9月21日)までのリリース(マキシシングル5枚、フルアルバム2枚、アルバム2枚の間のインターバルはわずか8ヶ月!)のスケジュールは決まっていたし、それはもう文字通り死に物狂いで作曲していたのがこの頃でした。

 

そんな状況が僕自身の事も少しは成長させたのでしょうか。この「December’s Children」からはそれまでの楽曲とは少し違うムードが感じられます。カメラ位置が少し高くなったというか。主観でなく、少し上空から人々の営みを眺めている感じ、というか。簡単に言えば、子供っぽい無邪気さが少し減って、その代わりの何かが加わった感じがします。そしてその「何か」は今でも僕の中でも重要なテーマとして残っている気がするのです。つまり「今の沖井礼二」の出発点はまさにこの曲だったのかもしれない、という気もするのです。そう考えたら重要作ですね。

 

歌詞にもそれが表れています。見知らぬ架空の誰かの日常を淡々と描く、ストーリーテリングのようなこの手法を何故始めようとしたのかはもう思い出せませんが。多分ポール・マッカートニーやレイ・デイヴィスの影響もあったんだろうとは思います。稚拙な英語詞ですが、この歌詞はとても気に入っています。何度でも書きたいようなテーマであり、物語です。

 

オルガンは「My Brave Face」と同じくCITROBAL米山美弥子さん。僕が買ったばかりのHAMMOND XB1を弾いてくれました。

 

ギターはアコギもエレキも元BRIDGEの清水ひろたかさん。「おまかせで」という僕のディレクションだったのですが、それまで自分のボキャブラリに無かったフレーズの洪水に僕は溺れんばかりでした。すごかったなあ、この日は。この日に学んだことは今でも僕の中でバッキバキに生きています。ありがとうございました。

 

多重コーラスに凝り始めた頃だったので、拙い僕のコーラスがあちこちに入っています。Roland VS1680による宅録だったので随分と苦労はしましたが、こういうものは苦労しないと会得できませんからね。

 

アルバムにも収録されていないこの曲にどうしてこんなに愛着があるんだろうと思っていましたが、この記事を書いているうちにその謎が少し解けた気がします。なるほどそういうことだったのね。こういうのは記憶が残っているうちにきちんと書いとくもんですね。

 

そう言えば思い出した。シンバルズ解散後、2000年台代の後半だったと思うけど、珍しく土岐麻子さんから「ライヴやるから観に来ませんか。December’s Children歌うんで」とお誘いがありました。考えてみたらこの曲はシンバルズではライヴ演奏したことがない。そんな曲を客席で聴けた時は感無量でした。多分僕が彼女のライヴを見たのはその時だけじゃないかな。誘ってくれて嬉しかった。ありがとうございました。終演後に挨拶に行ったら「ラスボスかと思ったら更にラスボスが次々に現れるような曲だから大変でしたよw」とのことで「それはすまんかった」と言ったように記憶しています。

 

沖井

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