【沖井の冬楽曲解説 その3】シンバルズ「Hour Our Hour」

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2024/12/15 23:36

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沖井が過去に作ってきた「冬楽曲」について一曲ずつよもやま話をしていきます。今回はちょうど26年前の昨日にリリースされたシンバルズの2ndミニアルバム『Missile & Chocolate』から「Hour Our Hour」のお話を。

 

https://youtu.be/8VMKDB-xDjI?si=M7oHs0GIucZf_2hy

 

ミニアルバム『Missile & Chocolate』を冬のパーティ・アルバムにしよう!と決まったことで書いた曲なので、おそらく作曲は98年の夏くらい。事務所の方から(もしくはこの頃に契約が決まっていたビクターの方から?)「日本語の歌詞が欲しい」とのことで日本語詞になったように思います。作詞は土岐麻子さん。彼女にとっても初めての日本語作詞だったんじゃないかな。「おまけにほら、あいつまで来た」のあたりが実に当時の土岐さんっぽくて良い。

 

この曲は個々の楽器の音がとてもよく録音できていて(特にドラム!)、HAL STUDIOの三好敏彦さんのミックスに対し「ラフミックスの方がいいです…」という罰当たりな事を勇気を出して言ったのを覚えています。なので正式に採用され、今聴けるのはラフミックス・バージョンです。ああ三好さん、本当にすみませんでした。今なら絶対に言わないだろなあ。「ラフミックスの良さを分析し、より良い形で正式ミックスに組み込み、ラフミックスを超える」というのが正しい道ですね。そんなこともわからんくらいに僕もまだ素人でした。でもその場でLD&K社長大谷さんが笑いながら「バンマスの沖井くんがそう言うんだもの、それが正しいに決まってるじゃん」と言ってくれたのも勉強になりました。

 

にしのちなみさんのオルガンが名演です。パーカッションを効かせたトーンで時には歯切れ良く、時には大きく広がる和音で、コロコロ踊るようなプレイはいかにも彼女らしい、一聴きで彼女とわかる個性的な素晴らしいものです。しかし昨日お話ししたCX-3の不具合で録音に苦労したことも覚えています。

 

間奏では僕と矢野さんがカズーを吹きました。途中で笑っちゃってカズーを吹き損ねる矢野さんの笑い声があまり良かったので、そのまま採用になっています。なんで笑ったんだろう。照れてたのかな。でもとても楽しかったのは覚えています。あまりよく聴こえないけど、僕がバックでバンジョーも弾いています。あの頃はバンジョーとかウクレレとかシタールとか、いろんな楽器に挑戦するのが楽しかったな。今も収納の奥にしまってあるけど、また弾く日は来るんかなあ。

 

ベースはyes, mama ok?の金剛地さんから借りた西ドイツKarl Höfner社製 500/1ベース。良い音ですね!これがあまりにいい音だったから後日僕もヘフナーを買おうと思ったのですが、同じ印象の個体には出逢えず、結局買って帰ったのはイタリアVox社68年製のVox Stinger IVでした。これもいい楽器でしたね。シンバルズの数々の楽曲で録音に使用しました。

 

楽曲としてはいかに架空のパーティ・ナンバーと言ってもあざとい。やりすぎ。これは当時からも思っていたことなので、多分この曲をライヴで演奏したことは無かったと思います。「冗談でかわいこぶってみたつもりが、本気で受け取られてしまって焦るメンバー」みたいな図式ができてしまった記憶があります。俺らは別に可愛くねえよ!この時の僕の判断ミスのせいでシンバルズは後々苦労することになります。

 

楽曲名は僕の中学時代からの友人のバンド"Our Hour"から。彼らもLD&Kのレーベルメイトでした。彼らのMVに「ウサギの着ぐるみがヴォーカルの草壁さんにボコられる」という場面があるのですが、そのウサギの中の人が僕でした。それがご縁でLD&Kにデモテープを渡したのがシンバルズのデビューに繋がった、という訳です。ご縁ってありますね。

 

それはいいとしてこのジャケの女の子、フランス人のカミィちゃん。確かこの頃5歳。単純計算でも今は31歳。うわあ。当時の僕よりお姐さんだよ。時間が経つのは早いですね。

 

沖井

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