
【沖井の冬楽曲解説 その2】TWEEDEES「Winter’s Day」
沖井が過去に作ってきた「冬楽曲」について一曲ずつよもやま話をしていきます。TWEEDEESの1st アナログ7インチシングルから「Winter’s Day」のお話を。
https://youtu.be/5s60elVdmAc?si=aRu3LOdZtU9kDbsk
前回はシンバルズ初の冬楽曲でしたが、今回はTWEEDEES初の冬楽曲。僕個人にとっても新境地だった曲の一つです。
TWEEDEESがデビューしたのは2015年3月でしたが、これは同年11月の「レコードの日」のために作った曲です。制作は8月の下旬。TWEEDEESで冬の曲を作るチャンス!だが締め切り(音も、ジャケや盤面のデザインなども含め)の9/1まで十日(一週間だったかも)しかない!という状況で必死で作りました。頑張ったなあ、あの時は。時間も無いからもう少し簡素なアレンジで作るつもりだったのにアイデアがどんどん湧いてしまい「だめだ。この曲はこのアイデアを欲しがってる。ここで中途半端なことをしたらきっと一生後悔する」と思い、途中で腹を括って「時間が無いなら寝なければ良い」という方向にシフトした瞬間を覚えています。
頑張った甲斐あり、自分の全楽曲の中でもどこか特別な意味合いを纏った楽曲になりました。華やかで幸せそうに見えてどこか寂しそうな感じはどこから来たものでしょうか。おそらく僕が幼い頃からクリスマスに感じているのはそういう雰囲気なのでしょう。誰もいない夜空をたった一人、トナカイと一緒に子供たちへの贈り物を運ぶサンタクロース。毎年、一人で、永遠に。この曲を聴くといつもそんな情景が思い浮かびます。
この曲は一言で言えばクリスマス・ソングだと思いますが、クリスマスへの印象もまた人それぞれのものと思います。そしてきっとこれが(現時点では)僕の持つクリスマスへの印象に一番近いものなのかもしれません。今まで書いてきた数々の冬楽曲の中でも特にシンパシーを感じる曲です。
ドラムはゲンちゃん。ギターソロは山之内俊夫くん。どちらも素敵な演奏で嬉しい。二人のスケジュールがたまたま空いていて助かった!清浦さんの歌も素晴らしい。それ以外は僕が担当しましたが、この曲のオルガンは大変だったな。オルガンだけで一晩かかった記憶があります。
ちなみにこういう視点の音楽はシンバルズやFROGではまだ作れていなかった気がします。僕が年れを重ねたせいかもしれませんが、TWEEDEESという新しいプロジェクトが開いてくれた扉もある気がします。
沖井